そこは不思議な劇場であった。
あなたは周囲を見渡すが、暗幕の降りた舞台と、自分以外誰もいない観客席。そんな暗く重苦しい空間が広がっているだけ。
一体ここはどこだ? そんな不安を抱いたあなたの耳に、不意に、軽やかな鈴の音が届く。
続いて現れたのは、黒い衣服に身を包んだ、人形のように美しい顔立ちをした少年。
彼は言った。



少年は高らかに指を鳴らす。それを合図に、開幕のブザーが鳴り、幕があがる――……




一年前、テオドールとエドガーは大切な家族を失った。
ショックで塞ぎ込んでしまった兄・テオドールをなんとか元気づけようと献身的に世話をするエドガー。
自分に心を砕く弟に罪悪感を抱き、苦しむテオドール。
二人は互いを想い合い、けれどその想いはすれ違ってばかり……

ここ数日、テオドールは眠れずにいた。
それは眠るたびに一年前の悪夢を見るから。
愛する兄を炎の中に見捨てた記憶。 あの日の後悔、恐怖、無念。
それらすべてがテオドールを苛んでいく。

そんな彼の元に、一人の少年が現れる。
少年は【アポカリプス】と名乗り、彼に言った。

「お前の望みを叶えてやろう。」

その日から、テオドールは眠れるようになった。
けれどそれは、決して目覚めることのない「永遠の眠り」だった。
エドガーは、眠り続けるテオドールを救うため、【アポカリプス】と契約するが――……


【悪魔】は再び、彼らを絶望へと誘うのか。
「悪魔の黙示録」 ここに開幕――!



▼前作『Brudeid-誓の黙示録-』(web公開ボイスドラマ))